田中公一朗 "The Future News"

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zoom RSS 野田地図、『キル』 Killing Softly with This Silk

<<   作成日時 : 2008/01/20 23:29   >>

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野田地図の『キル』、再々演を見る。

話は明快になっている。主人公のテムジン(妻夫木聡)が、モンゴルにおいて、世界「制服」をたくらむのだが、それは「制服」をデザインすることによって行うと宣言される。
その制服活動自体は、殺害(キル)とミシンを踏んでデザインされる制服を着せる(キル)ことによって行われる。

これだけだと、ただの駄洒落に過ぎないが、しかしこの駄洒落をセンターポールとして、気真面目に妻シルク(広末涼子)と遂行する。そのことで、世界の構図と、テムジンの父と息子との葛藤が見えてくる。

しかしなによりこの舞台を明晰にしているのは、発色のよい衣装(ひびのこづえ)と照明(服部基)であろう。すのこ状の傾斜舞台の下からの光線は縞模様を生み出す。赤と白とモンゴル風の対照もくっきりしている。照明の技術革新以上のものがここにはある。
展開が速いのは、布一枚で場面転換をするアイデアによる。これはおそらく歌舞伎の流用かもしれない。

また舞台に切れ込みをいれ、そこから役者の出入りをさせている。さらにその溝に、ボードを載せ、見立てをする。いや、見立てそのものも頻繁であり、とくにポストモダン風な椅子(「ニトリ」の椅子ではないだろう!)は、桟橋になったり、塀になったりされる。

この舞台構造とあいまって、多層的な意味が展開される。帝国の野望(マシンガン=ミシン・ガン)、親から子へ、子から孫へというなかでの愛情というよりも憎悪(野田秀樹役、バンリ)、地理的な広がり、地図Mapへの理解。ファッションだけでなく、コピーと真似。

妻夫木はこれが初舞台だが、まったくそんなことを微塵も感じさせない。存在感auraでは広末に負けてはいるものの、台詞は明瞭。結髪(けっぱつ)役の勝村政信は、またも好演。笑いも取れるパワフルな演技。

野田は、パンフレットの冒頭に書いている。その一節。

我々一派の敵は、『等身大の人生を描く』とかいう一派である

そのことを身をもって実践し、実証しているのだ。

http://www.nodamap.com/02kiru/cast.htm


(1月15日、Bunkamura、シアターコクーン)



Theater in Review

"KILL" by Hideki Noda


Report by Crow Echirov Tanaka,Tokyo

Whenever I touch the stages of Noda-Map, I find the same element with techno sound.yes, i always do. Hideki Noda’s stages set in repetition and in cutting up.He has been an electronica-playwriter of our time with his own body.

The title, ”Kill”, means “kill” and “wear” at the same time in Japanese. The main role Temujin, performed by Satoshi Tsumabuki made up his mind and declared to conquer the world( seifuku) with the uniform( seifuku,the same sound in this language) designed by himself. Story, however, spreads in Mongolian Dynasty.

As oblique stage was cut deeply into two parts at the center from left to right, actors were able to go into and out of this trench. Use of cloth creates rapid scene changes . This method probably diverted from Kabuki.

The stage structure carrys multilayered meanings : Expanded Imperial ambitions (sewing machine gun =gun). From Grandfather to Father, from Father to the son in love rather than the hatred (Hideki Noda, Banri). Geographic spread, map to understand the whole world. Fashion in terms of copy and imitation.

This is the first stage for Satoshi Tsumabuki, and he gets smashes in the finest sense. Ryoko Hirosue has her own aura, and the lines are pretty clear. Keppatsu, Masanobu Katsumura hits great performance.

Noda wrote short essay in the pamphlet . One passage.

Our enemy is the faction to draw life-size

He surely demonstrates that.


Jan.15,2008,Theater Cocoon,shibuya,Tokyo




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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
田中さん、こんばんは。
見たいよーと言っていた「キル」、このブログを拝読してからやっぱり諦めきれず、当日券に並んでみてきました。

中二階で立ち見という悪?条件にも関わらず、エネルギーあふれるステージでコクーン内の空気がちゃんとかき混ぜられていて、いい雰囲気に酔うことができました。野田秀樹の力量に改めて敬服。あのステージをつくって、2ヶ月もクオリティを保てるなんて。

妻夫木くん、よかったですねー。最後までテンション下げず、でも広末涼子のセリフが走りがちなのにもつられずにちゃんと芝居を運んでいて、本当にこれからもぜひいい舞台を積んでいってほしい!と思いました。勝村さんも彼らしい味をふんだんに発揮されていて嬉しかったです。

床板の下からの照明や風に舞い上がる布がとても美くて、何度もため息が出ました。

それにしても野田秀樹。180度開脚歩きをこれでもかと続けるあのシーン、放浪記の森光子のでんぐり返しぐらいすごいんじゃないでしょうか。いつか封印されるかもしれないから、今見られてよかった(笑)。

田中さんの情報に感謝です!これで心置きなく出張に出られます。
terra
2008/01/24 23:01
こんにちは〜

床下からの照明は、意味も伴ったものであり、ことさら美しかったですね。広末はいいのいいの。あれでw

野田秀樹・・・うーん、大丈夫ですかね。心配になりますわ。もう最後かも 笑

出張、お気をつけて!! こんどはいずこ??ww
田中 公一朗
2008/01/26 00:16
先生、メールのお返事ができていなくてすみません。大人とこどもの話。笑。携帯を変えてからすっかりメール無精になってしまって。お会いできたときにでもぜひ。
「キル」観てらしたんですね。
野田秀樹の舞台はwowowなどの映像でしか観たことがありません。エネルギーのある舞台すごいと思いつつも、実際生の舞台で同じ空間を共有したらずっと直視していられないかもしれない気がしています。
ただ、ミュージカルが好きなだけかもしれませんが。行きたかった新春浅草歌舞伎にはとうとう行けませんでしたが、宝塚の舞台はせっせと今月も観に行きます。笑。卒業旅行でパリにゆくので、オペラかバレエを観てきたいなと思っています。
midorix
2008/01/26 01:01
こんにちは。
タナカはmidorixの「先生」ではないよ〜笑 ああ、そんなこともありました。大人問題。

野田さんのお芝居、いいときはすごくいい(逆もある)と思うので、このヴァージョンは「いい」です。ほんまに。

パリだけ?? いまのパリオペラ座はバスティーユ、ガルニエともに水準がUP↑してると思います。今年日本に来るけどね。オペラもバレエもw
田中 公一朗
2008/01/26 10:30
ああ、確かに。笑。先生ではないけれども、先生と呼んでしまいますね。職業柄ですね。
オランダベルギーパリを10日間で電車でまわります。
今年来るんですか??どーん。笑。でも、いいんです。向こうに行って観るということが、今の私には大切な気がします。
あとは、母とベトナムカンボジア、塾の同期と台湾に行きます。九州にも行きます。旅月間になりそうです。
midorix
2008/01/27 16:12
こんにちは(深夜ですがw)
オランダ・ベルギー・フランスかあ。いいですね。今年は日本のほうが寒いし。いまんとこ。
なんかご希望があれば、おすすめ、お知らせしますよ。日本からチケットの購入可能。人気があるものは売り切れますから〜

モネ劇場もとってもおすすめですよ。自分も行きたいですわ〜10日くらい。リゾートでもいいかなw

ベルギーはいま、フラマン系が独立運動がありますね。それだけはやや注意か・・・
田中 公一朗
2008/01/28 03:40

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