ミュージカル、『タンゲーラ』

ミュージカル、『タンゲーラ』を観る。

まず照明から。
スモークが適度にたかれて、照明の軌跡がよりはっきりする。またブエノスアイレスらしき場所の霧をも連想させる。

http://www.tanguera.jp/

ミュージカルといっても会話は実質ゼロ。ただただ踊りと演技だけで、「愛と死」をあらわす。あまりにありきたりの表現だが、文字通り、「愛と死」なのだ。


ダンサーたちの質がきわだって高いことは、ふだんバレエやコンテンポラリーしか見ない眼にもとてもよくわかる。身体のキレ、クラシックバレエを基礎に持っている滑らかさ、そして脚を筆頭にしたタンゴならではの動き。どれをとっても爽快であるし、またエロティックでもある。


もともとアルゼンチンという植民地主義のなかで生まれたタンゴ。移民と港湾労働者がタンゴを作り出したと言われている。
舞台でもその港や荷上げは強調されている。まるで潮の匂いがしそうなほど。


男性は、ダブルのスーツかスリー・ピース、女性は丈の短いワンピースという衣装。もちろんそれは当時に実際そうだったかとは別だろうけれども、しかしそういう洗練は、おそらくタンゴ出現時からあったはずだ。

たとえば、アルゼンチンやもっと広くラテンアメリカの文学を考えた場合、きわめて洗練され前衛的な面(これはヨーロッパ起源)と、現地の土着で土俗的ですらある要素がきれいに連結している。まったく矛盾がないのだ。

ちょうどそれと同じようなことがタンゴにもいえるだろう。
音楽的には複雑なリズム。それが2/4拍子という大きな拍感の中で挿入されている。たとえばそれはピアソラやヨー・ヨー・マやギドン・クレメルに受け継がれている。


音楽が録音なのはやや残念。しかしとくに男性の踊り手たちが優れていて、とくに群舞は圧倒的。

簡略なストーリーが、ほぼ想像通りに展開するけれど、言葉がないだけ迫真的。死の予感と、エロティックな関係はどんどんと高まってゆく。最後の部分に向かって。1時間半に満たない時間がきわめて濃密な「ミュージカル」だ。


(2008年2月7日、渋谷 Bunkamura オーチャードホール、マチネ)




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今後の予定記事:


*サブ・プライム・ローンのその後の深刻さ(その後、詳しくなりました)
*世界経済アウトルック
*歌手になる方法
*アフォリズム(続きもの)
*最近のおすすめ本
*バラク・オバマ大統領とは誰か?(もう決めてしまっています。でもそうなるでしょう)


などです。取材をすることなども考えています。

なにかご要望があれば、たいていのことにはお応えします。もし自分のよく知らない範囲のことでしたら調べます。




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この記事へのコメント

ぺこ
2008年02月11日 23:30
今後の予定記事の歌手・アフォ・本のほかに、サービスとホスピタリティについて、以前エントリーされていた記事の続きが読みたいです。

この記事へのトラックバック

  • Tanguera ~タンゲーラ~

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