「帰国子女」幻想 Delusion of Kikoku

(昨日今日、あまり体調がよくありません・・・それで文でも書きます。仕事量が多いから? 暖かいから?)


テーマは、「帰国子女」。


このことば自体がなかば差別的に使われていると思います、「あの人、ほら、帰国だから」という使い方ですね。

帰国子女を「海外経験者」とか「在外長期滞在経験者」と言うと、話がより複雑になりそうなので、とりあえず「帰国子女」のことばを使います。

この人たち、もちろん男性もいるわけですが、以下、特徴をあげてみます。




日本語の力が弱いことが多い。会話はできるけれど、読む力が弱い。


②英語など、現地校に行っているとできることはできる。ただ中途半端であることがしばしば。


③子どものころに海外にいたことで、「発音」(たとえば英語)は「いい」ので「ぺらぺら」と思われる。しかし、そうでもない。文法も正確でなくてもなんとかなるし、聴く能力は確かにある。だが政治や経済、文化の話ができるか、というと、むずかしい。
その点では精神年齢が低い例がある。


④とはいえ、20歳なら20歳の経験はしている。となると、経験はしているけれど、それをことばに直すことができない。語彙が欠けているから。
たとえばスイスに幼少期にいた、そしてことばはある程度わかる。でも自分の精神でおきていることを、的確なことばで自分に対して表現できない。


⑤自分がどこに所属しているか、帰属意識も希薄。コスモポリタン(「地球人」)といえば聞えはいいが、しかし根無し草。アイデンティティがきわめて不安定なケースもある。
OSが中途半端にいくつか入っているPC、のような人もまれにいる。


⑥つまりなかなか、「帰国子女」たちは、精神的に厳しいことがある。いや多いかもしれない。日本文化に無理やり自分を適応させている。


⑦しかし、なにかというと、帰国子女に対してたとえば、「え、イギリスにいたの? すご~い」で理解したつもりになってしまう。


【 帰国子女=英語ができる=グローバルな存在=スーパーな人 】


という等号を当てはめられている。

英語(住んでいた特定地域の言語)となると、ぜんぶその人に回ってくる。通訳も簡単にできると思いこまれている。(通訳はほんとうにむずかしいんですよ)。

彼かが、場合によっては「日本文化」の個性を捨てさせる行動パターンを嫌悪していたり、あるいは「どこにも所属していないという底知れない孤独感」にさいなまれていたりすることに気がつかない。


⑧もちろん、そうではなく、日本語あるいは英語でじっくり考えることができる人もいる。少なくない。これは在外時期によるだろうし、家庭での教育や、現地校にいったのか、日本語学校にいったのか、ということも関係する。


⑨そして、世界にはいろいろな考え方のひとがいるということを体感的にわかっているので、就職後、多文化的な活動をする人もいる



ひとことで言って、彼ら、彼女らは前述の等号のような「幻想」をもたれていて、「自分はそんなにすごくはないのに」ということは本人がいちばんよく知っている

しかし高校、大学くらいで「ちやほや」されちゃうんですね。それで誤解したままに社会人になる人もいる。
どこの文化にも所属せず、ことばも半端にしかわかっていないし、知識もないので知性にも欠けることがある。ところが周囲からは高い評価を受ける。この激しい、しかし誰にもいえないようなギャップ。


別に自分自身は、彼ら「帰国子女」に同情するつもりはないですし、彼らも同情など嫌がるでしょう。でもこんな「帰国子女」の内実もないわけではないのです。

在外邦人はいまおよそ96万人いて、そのうちのどのくらいが「帰国子女」なのかがわかりませんが(というのも定義がないからです)、何十万人と考えて、けた数は間違っていないでしょう。

参考 :
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/05/pdfs/2.pdf
外務省の統計です。PDF。








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この記事へのコメント

apolo
2008年03月14日 08:26
せんせー!ブログって言われてもブログ名聞いてなかったのでとりあえず、先生の名で検索したらHIt★良かった良かった。
これからアクセスカウンター増えますよー、
うちがちょくちょくきますんで(^_-)-☆
田中 公一朗
2008年03月14日 23:44
んん? どなたかな? にこたま系?かしら。間違っていたらごめんなさい。

いいのいいのアクセスカウンターは 笑
読みたい人が読んでくれれば。

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