モンゴル、自治都市、国際避難都市 Global City and Nomad

最近、読んでいる本が、モンゴル関係のものです。モンゴル帝国も含め、匈奴や、スキタイなどです。

なんでそんなものを読んでいるのか? 「蒼き狼」にそんなに興味があるのか?といえばそうではありません。

ここ15年ほどで、従来のモンゴル像が大幅に解体、再構築されつつあるのです。

そしてそれらのモンゴル研究は、自分が考えている、グローバル・ガバナンスの上での新しいエントリーになりえる諸要素を持っていそうなのです。

その話に入る前に、今日はいくつか「クイズ」にでもなりそうなことを。
(◆まとめはいちばん最後にあります)

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■モンゴル、というのは民族名ではなかった。国の名前である。

■モンゴルは、従来の歴史書に書かれているようには野蛮でも残虐でもなかった。それはモンゴル自身が戦闘をしやすくするために出したウワサであり、そしてモンゴルに痛められつけられた中国王朝と「ヨーロッパ」「ロシア」が事後的に付け加えたものであった。かといって、平和な軍隊でもなかった。

■モンゴルでは、人類史上初めての「グローバルヒストリー」を書かれた。これが『集史』。

■ハンガリーHungaryの語源はフン族Hunであると見ていい。そしてフン族が、匈奴と同一であるかどうかは不明。しかし時期、場所はとても近い。

■ロシア(ルース、フランス語でもRussie)は、この"モンゴル帝国インパクト"があって、国家形成をはじめるきっかけができた。

■13、14世紀、モンゴル系の人たちは南下する。その一部がムガール帝国になる。語源はモンゴル。

■ユーラシア大陸は、モンゴル登場以前から(金、キタイ遼より前)、交易ルートが明確にあった。それは「シルクロード」ではなく、もうひとつ北のルートである。

■モンゴルの航海技術が、地中海の航海術を変化させ、それが「大航海時代」(ヨーロッパから見ればはじめての航海)につながった。

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などと書いてゆけばきりがありません。

また、モンゴルの宗教体制、統治制度、税制。これは現在にもそのままではないにせよ、応用可能かもしれません。



(そして、
これからの時代に、どうやって新しい世界のシステムを構築するかというところで、自治都市というのも参考になるでしょう。しかし、たとえば「中世の」堺や平戸などの自治制度に関する研究は、書籍という形ではほぼないに等しい。論文レベルになってしまいます。
これはいったいどういうことでしょうか?)


またまた直接関係ないですが・・・
日本史や日本文学研究者が、なぜアイヌ語やモンゴル語をほとんどの場合やっていないのか、門外漢の自分ではありますが、大きな疑問。日本地域言語に、アイヌ語は語彙として相当に取り入れられていますし、本州でも地名に残っています。(「日本国語大事典」参照)。
また、えぞ、えみし、と言われた人たちは、状況証拠でいえば、匈奴から女真、モンゴル、キタイなどと関係がないほうが変でしょう。

たとえば
宮崎駿さん監督の映画、『もののけ姫』の、もののけ姫や主人公が、えぞ、つまりはほぼアイヌでしょう。
とはいえ、若手を中心の日本史研究も、9/11以降、大きく変化してきました。(たとえば「講座日本史」シリーズ、東大出版会)。


さて、
モンゴル帝国のリンガ・フランカ(国際公用語)は、ペルシャ語でした。となると、北方経由で、ペルシャやイスラームの文物や風俗が日本地域に入ってきていても、なんの不思議はない。

ただ問題は当時の貨幣制度や交換システムがどうなっていたか、でしょう。このへんも研究は進んでいます。どうもいろいろ探ってみると、日本のモンゴル研究は世界最高水準のようです。とくに京大を中心に。


そしてさらにここに、ジャック・デリダが提案して結局実現にいたっていない、国際避難都市の構想も考えたい。
どうやって、難民や亡命者の居場所(アジール的なもの)を作るかです。

カントの表現でいえば、「危害を加えない限りで歓待hospitaliteすべき」人たちです。(『永遠平和のために』)


◆まとめ。
モンゴルと、過去の自治都市と、国際避難都市は、きたるべきグローバル・プラットフォームを考える上で、大いに参照すべきポイントなのだと思います。いまの時代は「大きなこと」big pictureを考えるときです!!


参考文献はかなりの数になるので、今日は一冊だけにします。

モンゴル研究の最「右翼」、杉山正明さん(京大)の最新本です。いままでの本の繰り返しの部分もありますが、「現在」のアフガニスタンやイランなどともリンクしています。はじめて「杉山理論」を読むなら下記の本がいいと思います。

最後に。「中国人は嫌い」とか、「地震は天罰だ」などと間抜けなことを抜かすのもいいですが、中国文明が持っている文化的な厚みと、またその権謀術数の歴史を少しでも開いて欲しいところです。あまりに膨大で、人類の可能性はそこですべて出てしまったのではないか、とも思いたくなる。
(たとえば講談社のシリーズ、『中国の歴史』)
それから現代中国の小説、映画を見て欲しい。世界の最先端です。莫言、残雪、などを筆頭に。日本語にもかなりなっています。

寝ぼけていて、地域を閉鎖的にしているのはどちらのほうか。日中似たり寄ったりでしょう。だからこそ嫌う

モンゴル帝国と長いその後

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