タレブとマンデルブロの予想、運命の日? Doomsday Coming?

アメリカには「良心的」と呼ぶしかない公共放送があります。テレビではPBSです。原則的じは寄付などで運営されている放送局です。その有名な番組に「ジム・レイラー・ニュースアワー」があります。
ジム・レイラーは大統領選挙のディベートの際に司会を務めていることでも知られています。

さてPBSのサイトに、"Black Swan"で有名なタレブTalebとその先生mantorであるマンデルブロ(フラクタル理論で有名)が、出ています。

http://www.pbs.org/newshour/bb/business/july-dec08/psolman_10-21.html
videoを見ることも可能です。そのトランスクリプションが本文テクストですね。

さてその内容ですが、驚くべきものになっています。

タレブは今回の金融危機が、アメリカ大恐慌を越え、独立戦争以来の危機になるだろうと予想しているからです。マンデルブロは、「そうならないことを祈るが、大恐慌より厳しいだろう」と発言しています。

その理由は、銀行システムがまさに複雑系化してしまったこととしています。そこは彼の例の、ブラックスワンの話ですね。
白い白鳥(トートロジーです)しか見たことがなかれば、白鳥とはすべて白いものだと思う。しかし、実際には黒鳥もいたわけです、と。歴史的には1697年にオランダの冒険家がオーストラリアで発見しています。

そのひとつの例、反証がいままでのすべての事例や確信をすべて覆してしまいます。

The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable
Random House Inc (T)
Nassim Nicholas Taleb


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そしてそれが、小さなさざなみが嵐になるというマンデルブロの話とつながるのです。

これは物理学では乱流と呼ばれる分野ですね。ずいぶんと以前より研究されていますが(水や空気の動き)、実は条件が複雑化するともう予想ができなくなります。

気象予報もそれほど正確には当たらないし、ましてや経済は変数があまりに多すぎ、また変数相互の関係も複雑です。

マンデルブロの本については邦訳が出ていますし、以前に書評も書きました。

禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン
東洋経済新報社
ベノワ・B・マンデルブロ


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「禁断の市場」という扇情的なタイトルですが、厳密さを追求した手堅い本です。数学的な追い込みもきちっと注にまとめられています。

なおPBSのインタヴューで2人は、ヘッジファンドの動きに注意を促しています。現在多くのヘッジファンドが閉鎖に追い込まれていますが、その際の売りが、連鎖反応としてさらなる売りを呼ぶという仕組みです。
(マンデルブロは、綿花価格の推移を研究して、そこから経済学の新しい潮流を切り開いたのです)。

なお個人的には、そこまでひどい経済状況にはならないだろうとやや楽観視しています。その理由は、

*楽観的ではなければやっていけない。
*世界経済すべてが今回の現象に巻き込まれているわけではない。つまりグローバル経済に完全に浸っているわけではないということ。中国やインドは比較的セーフゾーンにいることができる。日本もある程度ですが乱流から逃れている。

という2点です。逆にいうとこれしかいい材料はない、ともいえます。

グローバル化のある種の「巻きなおし」に関しては、またすぐに書きます。アンヌ・スローターのインタヴューを参考にしつつ。



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