【書評】北野宏明、竹内薫、『したたかな生命』


したたかな生命
ダイヤモンド社
北野 宏明


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現在の生物学や医学、生化学の方向は、理論生物学に向かっていると言ってもいいように思います。つまり物理学や経済学と似てきていて、まず理論thoeryを考えて概念構築と仮説を綿密に立てて、同時に実験をしてゆくというアプローチですね。
その流れを紹介した代表的な本がこの『したたかな生命』でしょう。

日本地域での生物研究はとても盛り上げっているようにみえます(郡司ぺギオさんや、池上高夫さんなど)。北野さんも先端的な研究をしているひとりでしょう。

ロバストネスrobustnessは「しなやかな強靭さ」とでも訳される概念ですが、生物がもつ環境との相互関係のなかで柔軟すぎず、しかし適応している状態でしょう。

そのロバストネスという概念をもとに、進化と生物の本質を解き明かそうとします。

同時に、工学的な設計(ボーイング777やF1)思想や経営戦略、がんといった病気まで話を拡大します。この本のもっともおもしろいところが、このいろいろな分野の現象を、モジュールとロバストネスで説明しきっているところでしょう。広い意味でのシステムです。そのぶん厳密さには欠けますが、それは個別に論文や参考文献を追えばいいことでしょう。

生物学がいまや建築や経済といった隣接分野と並んで先進的であることが納得できます。その気になれば数時間で読めますが、中身の薄い本ではありません。『生物と無生物のあいだ』が売れるならこちらもベストセラーになっていいのではないでしょうか。

(参考文献に挙がっているものには、記載がないのですが邦訳があるものもあり、また専門的すぎるものもあります。その点だけやや不親切)。
出版はほぼ一年前ですが、たとえばビジネスマンに強くお奨めします。システム的な思考の現在形が読めます。

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