「ジンガロ」、バトゥータ Battuta,or Horses,Bears,and Humans

いまの「日本」にいると、馬に触れ合う生活はなかなかないかもしれません。乗馬をやっているか、競馬で見るかといった限られた場合になるでしょう。
人間も当然ながら動物なのですが、自分は動物であるという意識は欠けている。かりに犬やネコと暮らしていても、人間が犬やネコに近づくのではなく、犬やネコを人間化します。


「ジンガロ ZINGARO」という、パフォーマンスともいえるし、アートともいえるし、そういうジャンルわけを拒むような「公演」があります。
http://www.zingaro.jp/


今回は前回2005年の初来日のものよりとても開放的なものになっています。


基本的にはロマ(ジプシーと以前は呼ばれていました。ただ差別用語になるのでいまは使わない)の人たちの動物たちとの生活が眼のまえに提示されます。
仮設テントの内部には直径50mほどの円形舞台がアリーナとして設けられています。文字通り砂arenaがそこには敷き詰められていて、その周囲を馬が疾走します。馬や人の出入り口は4つあり、円の周囲2ヵ所に、音楽隊がいます。そんな舞台であります。

まず音楽が素晴らしい。ルーマニアのロマ音楽は、どこか懐かしくまた素朴です。それを10人のブラス隊とクインテットの弦楽隊が交互に奏でます。

その音楽を背景に、移動して生活するロマ人たちの1日が丹念に描かれます。結婚や死、セックスやトランプ、食事やお祭りといったことがすべて馬とともに体験され、経験されてゆく。

たしかに曲芸的な馬術によって、一見サーカスのように見えるかもしれません。それは人間と馬の固い結びつきのためにそうなってしまうのであって、曲芸ではないように思います。シルク・ド・ソレイユもサーカスではありませんが、それともまた違うのでしょう。ジンガロでは日常的なことと宗教的なことが同時に盛り込まれます。


円形舞台の中心には水が上部から落ちてきます。本物の水です。馬がその水を浴びるとき、ふと、なにかとても自然で決定的なものを見たような気になったのは自分だけではないに違いありません。
(1月23日、木場公園内特設シアター、東京)
★★★★☆



*会場にははやめに行かれることをお奨め。
*会場の周囲には食事をするところがほとんどありません(東京都現代美術館は現在改装中)。
*内部に飲食施設あり(これも前回2005年と同様)。
*会場内、エルメスショップ正面にある木彫りの馬は必見!
*とくに馬の出入り口近くの席は砂が飛んできますが、大きなスカーフが準備されていて充分避けられます。


この馬たちを見ていて、実は黒澤明の映画を思い出していました。とくに疾駆する馬からのショットです。日本地域には馬との密接な結びつきがあったのですね。山本嘉次郎監督の『馬』(1941年公開。一部を見ただけです)などもそうでしょう。

ヨーロッパではいまでも人と馬との関係はあるように思います。テレビニュースのオープニングに馬が出てきたり、フェラーリの跳ね馬のエンブレムに使われたりといったことだけではないようです。エルメスは(いうまでもなく)いまでも手作りの馬具メーカーであるといったことでしょう。




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