【書評】大前研一、『知の衰退からいかに脱出するか?』


「知の衰退」からいかに脱出するか?
光文社
大前研一


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たまにビジネス書を読むことがあります。しかしふだんはあまり触手が動きません。ビジネス書に書いてあることは、やっている人は自分で考えてすでにやっているでしょうし、自分で考えられない人は、「いいアイデアだ」と思い、さあ明日からやろう、と心に誓うでしょう。いまやればいいのに!


さて、大前さんは、ながらく経営コンサルタントをマッキンゼーでやってらした人で、海外でのほうが有名だと思います。最近は地上波には出なくなっていますし。

この本では、世の中の「バカ」化をそれほどの実証もなく決め付てます。とくに政治家の無能ぶりを暴露します。


自分も、予備校や大学というところにかかわっているなかで、知的な衰退を肌で感じます。感じはしますが、しかし、それは「ほんとうに知的な衰退なのか?」と思うことがあります。というのも、知的の定義に依存するからですね。


適切にネットから必要な情報を見つけてくる力は、上がっている(かもしれません)。コミュニケーションにおける言葉の使い分けも上がっているかもしれない。

かりに知的、ということを定義したとしても地域間や国家間で計測する方法はなかなかないのです(PISAは有名ではありますが)。

この国の政治家は江戸時代から進化していない、と書いてみたり、『新・資本論』のような丹念な論証はこの本にはないのです。ビジネス書だからそれでいいということにはならないでしょう。やや荒っぽい議論が続くといえないこともない。



この本を挙げたのは、なぜかというと、いまの新しい時代の「教養」を明確に書いているからです。


大前さんは「英語」「ファイナンス」「IT」であるといいます。


たしかに海外に行ってエリート層と話したり、来日した知的な階層と話すときに、英語が話せない、聞こえないというのは「不勉強で、怠け者である」ということの証明にしかなりません。

中国の政治家を含め、エリート層(だけではなく、中国は大英語ブームです)は、英語を理解します。

ファイナンス、企業会計がわかれば、それだけで仕事になりますし、さらにIT(サーバーやASPその他)がわかっていることも企業人として必須でしょう。


それに、大前さんは

「あなたは、近年の環境問題とその対策についてどう思うか」
「アフリカのエイズ撲滅のために、最近なにをしたか」

ということに応えられるのがいまの時代に尊敬されることだ、というのです。

なぜ、オバマ大統領やBan国連事務総長やゴードン・ブラウン英首相が尊敬されるか、それはこういう地球市民意識から来ていると思います。

この最終章(第10章)だけ読んで充分価値がある本だと思います。
こういう「貢献」するというのも、口が悪い人は偽善だと評します。自分の意見に沿わないと潰そうとする人はいるものかもしれません。

自分は貢献するほうですね。大きな声でいう必要はないのですが。
(ただ一度寄付をするとその特定団体から延々と寄付のお願い郵便が来るのはなんとかしてほしいです)。


これを書いている自分は、映画や本も教養として加えておきたいです。それは人類のエッセンスであり、そこには人生のにおける解決策がさらっと書いてあるからです(だから経験が浅いときにはわからないか気がつかない)。




気付いた誤植。
ミクシー×⇒ ミクシィ○ p.367ページ。いま手元にあるのは3月10日、7刷です



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