【書評】 山田昌弘+電通チームハピネス、『幸福の方程式』


幸福の方程式 (ディスカヴァー携書)
ディスカヴァー・トゥエンティワン
山田 昌弘


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タイトルだけ読むと、自己啓発本かな、と思いますが、実は違います。現代社会の分析にもなっていますし、またマーケティングの方向性を示した本でもあります。

ある時代までは、たしかに広告代理店が提示する消費モデルを、なにも疑いもせず、というかそれこそが「幸せ」への最短距離と思って「つらい」仕事をしてきた。それが1980年代までであったでしょう。

バブル崩壊後、ただモノが多い、とかブランド消費だけでは一時の幸せ感しか続かなくなった。

そういう傾向に時間は前後しますが、MUJIやUNIQLOが台頭してきた。

安くて、いい製品で、ノー・ブランド。それがいちばんいいじゃないか、と自分も思います。


これからは、消費そのものにお金を使うのではなく、自分で自分を深めてゆける商品やサービス。そして人と人との新しい関係が出来るような消費、そういうものがこれからの主流になる。こうも自分は思っていました。


その部分をもっと追いつめ、明確にしたのが本書でしょう。

とくに<「仕事」こそが消費>というのは、まったく同感です。究極の消費は仕事でしょう。


仕事によって、人は社会から認められ(承認)、実際に社会に貢献をしている自分を認める(自認=本書の言葉ではありませんが)。

結局、他者からなんらかの承認を受けないと、人は継続的な「ハピネス」を感じないのでしょう。

それが後期資本主義の一特徴だと思います。




となると広告代理店というのも、むずかしいポジションにいます。

たとえば、
「カンボジアの水の汚染を除去するボランティアする旅行ツアー」、があるとします。

これは現地の人と、そしてボランティアの人同士のコミュニケーションがメインになり、「観光」はしないのです。


こういう形の消費では、「はい、こちらへどうぞ」という形で、商品を買ってもらうのは難しい。「この車を買えば、家族円満」という意味を打ち出しているCMというのはいまもありますが、そういうことでは「家族」が仲良く、そしてそのなかで個別に幸せ感を得られるわけではないことは、みながよく知っています。

バウマンの分析を応用しながら、これからの消費の方向性をモデル化した部分は、この本のいい部分でしょう。そして薄い本であるところも。マーケティングをやっている人たちは本を読む時間がないですからね。読むつもりがないのかは知りませんが。

リキッド・モダニティ―液状化する社会
大月書店
ジークムント バウマン


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このバウマンが、『幸福の方程式』のベースのひとつ。

社会的な承認や包摂については、こちらのほうがお奨め。やや読みにくいですが、分析はエッジーです。

後期近代の眩暈―排除から過剰包摂へ
青土社
ジョック・ヤング


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