オペラ改革 High Art to Thrive

ここで最近たまにご紹介するPBS(アメリカの公共放送)に、オペラの話題が出ておりました。ニューヨークにあるメトロポリタン歌劇場、通称METです。


マネージャーが、ピーター・ゲルプPeter Gelbに変わって改革が進んでいます。彼は以前ソニーのクラシック部門で活躍し、クラシックとポップスの「融合」を試みていました。

番組でもあるように、オペラは一方でオタク的なファンがいるのですが、同時にオペラを観る観客は減少しています。

そこで、ゲルプはパブリック・ヴューイングのような形を取ったり、格安席を作り、演出を取り替えたり、新作を委嘱したりしています。

世界にオペラをハイ・デフィニッションで映画館に配信しているのもいまのところMETのみです。日本では松竹系で観ることが可能です。





現実は、番組後半の『ホフマン物語』のリハーサルで、バート・シアーがまさに言っている通りだと思いますね。


When I'm in the middle of working on an opera, and there's people singing to me in very strange rhythms in another language, and I'm actually trying to work out what they are doing, I always -- I often say to myself, this is the weirdest art form I have ever been a part of.


これがオペラの敷居の高さであり、わかりにくさであり、まただからこそ特権的なオタクが生まれてくる原因でしょう。実際には、その前にルネ・フレミングが言うようなことはいまはありません。つまり、歌手は直立でただ大声を張り上げる。演技はゼロ、ということはいまは完全にありません。

しかしクラシックを聞きなれていなければ、イタリア語やドイツ語で歌われ、それを字幕で見る、なかなか長いステージのどこがおもしろいのか?と思うのが現在の「常識的」な感覚でしょう。「もっとも奇妙なアートの形」になっています。







同様なことは、日本の伝統芸能でもあります。歌舞伎は、新作を作ったり、アドリブで現在の状況を取り入れること自体が伝統。それでしっかり生き残っているのでしょう。江戸川乱歩の小説をベースに新作歌舞伎が国立劇場で作られています(なかなかのクオリティーだと思います!)。松竹では、クドカン作の舞台が歌舞伎座で上演中。


いっぽう、能や浄瑠璃はかなり苦戦しています。助成金などがカットされるとほんとうに厳しいでしょう。


対策は両方同時にやることだと思います。つまり19世紀オペラをいま、そのまま当時に近く上演しても見たい人は少数でしょう。それを21世紀ヴァージョンにうまく書き換えながら、しかしミュージカルやポップスではないのだから、オペラの伝統をしっかりと残す。たとえば音楽と歌詞にはできるだけ手を入れないで、現在に合った演出にしてゆく。それは「読み替え」などといったものではないのです。

たとえば、能なら字幕を入れるだけでずいぶん変わります。なにを言っているかがわかれば、内容はきわめて面白く、音楽も素晴らしいので必ずファンは増える。
またインタヴューやティーチイン、ワークショップや舞台裏ツアーなど、目線をお客さん(わたしたち)と同じにしないと、絶滅危惧だけではすまない。

もちろん反対する人は必ずいるでしょう。ミュージカルはミュージカルで、潜在的な力はあるし、お客さんもいる。これは開拓したんですね。しかし、オペラ(能なども含む)は、お客さんを開拓しなければ、ほんとうに消滅してしまう。




トランスクリプトはこちら :
http://www.pbs.org/newshour/bb/entertainment/july-dec09/opera_12-07.html

catwalkとは花道のこと。ファッションショーではおなじみ。『セビリアの理髪師』の演出の際に、花道を作ろうとしたら、指揮者より客席側にいてはいけない、それが伝統だと反対されたエピソードで出てきます。



画像の終わりに、ルネ・フレミングの7分ほどのインタヴューもあります。HDでオペラが取られるのはストレスだが、でも世界中で同じものが見られている面を評価しています。

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