映画、『倫敦から来た男』 The Man from London

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映画は、時間の芸術。それはいまさら書くまでもないことだけれど、もし時間と映画の関係を画像にしたら、こうなるだろう。

監督はタル・ベーラ Béla Tarr、ハンガリー出身。『ヴェルクマイスター・ハーモニー』の人でわかるかもしれない。原作は、ジョルジュ・シムノン。メグレ警視シリーズで有名。この『倫敦から来た男』も日本語訳が出ている。

イメージ・フォーラムには、小さな文字で、「この映画は特殊なフィルムを使っているので、途中で映画が中断する可能性がございます」旨の注意書きがある。たしかに、この白黒映像の色味は独特。すでにだいぶフィルムに傷がはいっていた。

この監督のゆっくりとした、緩慢ともいえるカメラの動き。どこかでこのようなものは見たことがある気がする。テオ・アンゲルプロス。カール・ドライヤー。少し褒めすぎかもしれないけれど、そういう系統に属する。クローズ・アップを好んで使う。俳優もそのアップに耐える顔をもっている。

最初のシーンはずいぶんともったいぶっていて、まるでブルックナーの交響曲のようだ。しかしリズムがよくなる。ホテルのシーンは反復される音楽とともに、臨場感をもたらす。小さな港湾都市での、犯罪。それが丹念に緻密に描かれる。どんな犯罪もそうだろうけれど、それなりの因果関係や流れがあり、観客には「犯罪」に見えなくなってくる。

そのあたりが、強風のなかでの場面で明瞭に出る。白い光と黒い光。この黒は少し緑も混じっているような黒。とくに刑事役が出てくるあたりから、一気に全体が引き締まる。ストーリーが、というよりも画面が引き締まる。

ちょうどラース・フォン・トリアーが、膨大な予算を使っていて、『ヨーロッパEuropa』を撮ったのと似ているのではないか。ハンガリーの幻想性というとありきたりだけれど、その期待を裏切らない。

ロケ地はコルシカ島が中心。この場所に行ってみたくなる。ほとんどがセットだという。バスティア港、サン・ジャン・バティスト・ド・バスティア聖堂、公営住宅も使われる。


参考 :

http://www.imdb.com/title/tt0415127/
映画情報(英文)

http://www.bastia-tourisme.com/
バスティア(仏文)

原作 :

倫敦から来た男--【シムノン本格小説選】
河出書房新社
ジョルジュ・シムノン


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