タイトルにごまかされてはいけない Title Does Not Matter


読んでいない本について堂々と語る方法
筑摩書房
ピエール・バイヤール


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タイトルに騙されそうになります。しかしそれも著者の目論見なのでしょう。中身はユーモアたっぷりでありながら、「一冊の本が一冊の本だけで成立してはいない」ことを多くの例示とともに説得的に書きます。これだけだと古臭い感じのテクスト理論。
でも、ということは、逆にいうと、他の本を読んでいれば、他の本の内容も充分に類推可能ということになります。そこまで推し進めたのです。

本にまつわる「神聖さ」を解体してゆく、そんな本でもあります。

おそらくこの本の最大の魅力は、現象学的な読書理解ではなくて、その例示として挙げている本でしょう。実に魅力的な本が題材にされていて、再読したり、あるいは読んでみたくなります。デヴィッド・ロッジ、夏目漱石、プルースト、オスカー・ワイルド、ウンベルト・エーコ、グレアム・グリーンなど。


グレアム・グリーンといえば、このバイヤールの本でも扱われている、『第三の男』。この作品、実は映画の企画が先にあって、その企画にあわせてグレアム・グリーンが書いたもの。

第三の男 (ハヤカワepi文庫)
早川書房
グレアム グリーン


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G・グリーンのサスペンス小説がつまらないはずはないですが、しかしここまで面白かったとは! 映画ももちろん映画史上に残る名作とされていて、自分もまったく同感。音楽も有名ですね。


このピエール・バイヤールの本に出てくる中心概念が、「内なる図書館」。これは3段階あるというのが彼の考え方です。「こころの中に、人はデータベースのようなものを持っている」という風に言い換えられるでしょう。それと参照しながらいろいろな本を理解したり、理解しなかったり、理解したくなかったりする。こう考えています。


この「内なる図書館」を単純化して使ったのが、岡田暁生さんの『音楽の聴き方』。この本もタイトルに惑わされそうになりますが、「いわゆる音楽をどのように聴いたらいいのか、とか聴き所はどこか」ということを書いた本ではありません。バイヤールの「理論」を過度に縮小させてはいますが。
音楽を聴くとは、聴いた音楽を言語化することである、と言い切っているのがこの本です。

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)
中央公論新社
岡田 暁生


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自分自身は、「確かにそうだなあ」と思う反面、音楽は情動で理解する面もある、だから言語領域に落とし込めることを「音楽を聴いた」ことだするのにはかなりの違和感があります。

しかし、文章自体がとても魅力的で(岡田さんならいつものことです)、そこは充分楽しめます。クラシックとジャズが主体ですが、他のジャンルにも当てはまる話でしょう。

どれもうーんとおススメの本です。



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