2010年 ワールドカップのレヴュー 2010 FIFA WC in South Africa

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2010年ワールドカップが終了しました。6月11日から7月11日まで。優勝はスペイン(初)、準優勝はオランダ、3位はドイツ、4位はウルグアイ。


さて、今回大会の特徴は国代表ごとにずいぶん戦略が違うことでしょう。

いくつかに分類してみます。4つくらいに分類できそう。


①守備を徹底して、カウンター。ワン・トップかツー・トップ。相手守備の裏をいつも狙う。
 アメリカ、ガーナなど(以下同じ)

②比較的パスを重視しつつ、局面打開を図る。
 メキシコ、日本、韓国、パラグアイ

③連携を大切にしつつも、個の突破力に頼る。
 オランダ、ドイツ、イングランド、コート・ディヴォワール

④高速パスから左右に大きく展開しつつ、相手の守備を解体させる。
 スペイン、ブラジル、アルゼンチン


このような戦略の違いはいつもワールドカップではあるのですが、今回は中盤という概念が実質的に消えました。
従来のサッカー(正確にはフットボール)では、攻撃と守備が、センターサークルから両側20mくらいの間で集中して行なわれていました。この中盤での攻防の中からボールを奪って、そこから攻撃につなげてゆくというのは通常の戦略でした。


ところが今回は、中盤がとても広がったことにより、むしろ「中盤」という呼び方に意味がなくなりました。それは選手のポジション変化が盛んになった、ということもあります。しかし、カウンターの速度が増したことによって、より守備的な体制を多くのチームが採用するようになったからといえます。


ですから上記の①、②、③については、アタッカーとディフェンスの間の距離が遠くなりました。そのぶん、サイドバックの仕事が増えたといえるでしょう。またアタッカーは余裕をもって中距離のパスを受け取ることが多くなり、そのぶんディフェンス、とくにセンターバックの位置付けがさらに重要になったともいえます。
攻撃はじっくり、ではなくて「前に前に」ということ。


精神的な弱さから敗退したブラジルや、スペイン、そしてブラジルの伝統的なサッカースタイルを見事にコピーしたかのようなドイツは、近中距離パスの連携を大切にし、敵方の守備を割りこんで入っていました。


ですから、世界のサッカーの戦略のトレンドは、<守備重視でカウンター>という方向だと思います。それは予選リーグGroup matchesだけではありません。ベスト16、Round16以降もしばしば見られました。


しかし優勝したのは、その効率のいい戦略を取ったチームではなく、細かくパスを華麗につないでゆく、ハイテクニック集団のスペインでした。(とくにスペイン=ドイツ戦参照)。

これからサッカーの戦略のトレンドが、スペインのようなパス重視の方向に行くとは思われません。オシム前監督はスペインの方向に未来があると考えておられるようですが。5cm刻みのパスの正確さがあれば可能でしょうが、多くの代表チームでもそこまでは不可能だからです。





サッカーというのは、自陣のゴールにボールを入れさせない。逆に敵陣のゴールにボールを入れる、というゲームです。それをコミュニケーションとして捕らえてもいいでしょう。また典型的なゲーム理論的状況です。

サッカーを、「ボールを相手のゴールに味方が共同で入れる効率を競う」、そういうゲームと見なすとします、すると自陣は私的な空間であり、中盤は公共空間であると考えられます。中盤においては、意図の異なる人たちがそれぞれに自分の意思で動いているので、相互にその意図はぶつかります。


その公共空間をすり抜けて、相手の私的空間の極に、ボールというメッセージを運ぶ。それがサッカーだといえるでしょう。

となると、中盤が圧縮されていたのが1980年から2000年代初頭まで、すなわち公共空間が限定されていた時代から、中盤が拡張し、公共空間が広がったのがこの2010年代と言えるでしょう。




印象に残った試合はスイスがらみの試合、それからドイツ=イングランド戦。

選手としては圧倒的にディエゴ・フォルランです。ミューラー(ドイツ)や、中堅どころのギャン(ガーナ)、恐るべき運動量と質のSBマイコン(ブラジル)、ルイスファビアーノ(ブラジル)。


「神の手」と称してハンドを意図的にするシーンが少なくなかったのは残念です。また誤審の問題も出てきました。中盤が消失し、攻守の切り替えが速いと、主審一人で見るのは限界、ということだといえます。


南アフリカ共和国での試合が大きな遅延や、トラブル、テロなどがなく終わったことは、ほんとうに素晴らしく、運営側、また一般市民やボランティアなどの活躍があってこそ。

ブブゼラvuvuzelaという比較的新しい民族楽器が広まったのも忘れるべきではないですね。


次回は2014年のブラジル大会ですね。やや長くなりましたが、レヴューをしてみました。


参考 :
FIFAのサイト(ヴィデオ):
http://www.fifa.com/worldcup/video/index.html

Yahoo!の日本語サイト:
http://southafrica2010.yahoo.co.jp/




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