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zoom RSS 『ゴダールのソシアリスム』を観る "FILM SOCIALISME" parJLG

<<   作成日時 : 2011/01/24 21:52   >>

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ジャン=リュック・ゴダールの映画、「ゴダール・ソシアリスム」を先日観ました。

もういろいろなことがブログを拝見していると書かれているので、それらは飛ばします。画像がきわめて美しいことや、編集のテンポが快適であることなどですね。それから引用されている映画、作家、哲学者などは他のブログに任せたいと思います。


少し気になるのは、多くの評者が、この映画は「美しく」「明るい映像のなかでのヨーロッパ」といった、美意識のみを問題にしている点でしょう。たしかにそういう視点もありえます。




しかし、この映画の別の、それも大きな側面は<ヨーロッパの黄昏>ということではないでしょうか。あるいは、「ヨーロッパの現在のPV」とでも言える。

まず、そのことがよくわかるのは、「映画の中では、キャメラが主人の位置にある」ということでしょう。つまり、キャメラを撮影しているシーンがきわめて多く、またその撮ることが「主題」になっていると見ないほうが難しい映画です。

ゴダールがSONYのデジタル・ハンディーカムを使っているということもないわけではないのですが、たとえばオリンパスのデジカメそのものを映すことからわかるように、デジタルな映像機器が頻繁に映り込んでいます。

撮ること、映すことがいま必要であるということでしょう。まずそこは見逃せない部分。




ストーリーは明確にありますが、きわめてシンプルで、第2次世界大戦の際の話を探るというものです。

ヨーロッパは、いまイスラームや、ヨーロッパ内部のイスラーム教徒との問題をかかえています。また、経済(金gold、or)にも劇的なまでに厳しい状態があります。

そこから、ブローデルの引用がある。「スーダンの金が、アラブで重要な位置づけを占め続けたこと」(大意)。また、エンディングは、「法が正しくないとき、正義は法に勝る」(デリダ?)であり、それはアメリカ(FBI)との位置づけの中で出てきます。また政治や歴史性、経済的な問題も出てきます。

ギリシャが当然のように話題にされていますが、そこでヘラス(ギリシャのこと)をHELL AS と分割して書かれると、昨年のギリシャの苦闘を考えないわけにはいかない。歓待が取り上げられているのも、移民や難民、サン・パピエのことなどを考えさせます。



そしてさらに、もっともこの映画で注目すべき点があるなら、それは音響的な工夫です。画像と関連させつつ、また関連もなく、映画館では音声や声があちらこちらから聞こえます。典型的なポリフィニーを地でゆく形です。


ゴダールがなにを考えているかなど自分にはわかりませんし、本人もどの程度意図的で、どの程度偶然に任せているか不明です。しかし、こういう音や話し声を単一にまとめないことにも、この映画の本領があると考えてもいい。

言語でみても、フランス語と英語という主軸があり、ドイツ語、ロシア語、アラビア語が登場します。それが原色の美しい景色のなかで映えます。

音楽としてテクノも登場しますが、ひどく割れゲインが大きな音。





漂流し、まるで老人たちが乗り込むクルーズ船のようになっている欧州。オデッサという、ヨーロッパ映画発祥地のひとつに戻ってゆく映画。それが第3部のエイゼンシュタインの徹底した引用と、現地の映像になっている。

この映画は、『愛の世紀』、『アワミージック』の「緩い」映像からすれば、緊縮(財政化)し、緊張度が高いといえるでしょう。つまり決して眠れない映画です。






参考:

http://www.bowjapan.com/socialisme/
公式ウェブ。

http://d.hatena.ne.jp/tricheur/20110118
堀潤之さん(関西大学)のブログ。この映画に関してとても詳しい。
これは予告編の各種ヴァージョンについて。

平倉さんの『ゴダール的方法』に関しては未読ですが、参考になると思います。











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ゴダール・ソシアリスム
“観ていて何だか解らないが、後からこの映画に惹かれてしまったと気づくような映画でした” ヌーベル・ヴァーグ(新しい波)を代表する映画監督として知られるジャン=リュック・ゴダールの最新作が新潟で公開となりました。 この“ゴダール・ソシアリスム”は彼のはじめての長編監督作品“勝手にしやがれ”の公開から50年後の2010年に公開されました。 僕はゴダールの名前を聞いたことがある程度で、彼の劇場はおろか、テレビでもレンタルショップでも観たことはありません。 何となく抱いていた彼の作品のイメージは“難解”... ...続きを見る
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