チュニジア「革命」 Nights in Tunisia in 2011




チュニジアのベン・アリ政権が倒れました。それも実にあっけなくです。

まず、今回の政権崩壊の流れを簡単にたどります。そしてその原因を探り、これからを考える。この順番で行きます。


まずここまでの流れ

①ベン・アリ政権の長い統治がありました。実質的に独裁政権で、報道の自由は規制。そこにWikiLeaksが、たとえばこんな文章を公開しました。アメリカの在チュニス大使館公電cablesです。

http://213.251.145.96/cable/2006/01/06TUNIS55.html
これは、チュニジア人の間のブラック・ジョークからはじまって、政権が変わったら、アメリカはどうすべきか、などが書かれています。

One of the standard jokes about President Zine el Abidine Ben Ali (usually delivered only half in jest) is that he has three goals for his presidency: to stay in power; to stay in power; and to stay in power.

また、
http://213.251.145.96/cable/2008/06/08TUNIS679.html
ここでは:
The numerous stories of familial corruption are certainly galling to many Tunisians, but beyond the rumors omoney-grabbing is a frustration that the well-connected can live outside the law. One Tunisian lamented that Tunisia was no longer a police state, it had become a state run by the mafia. "Even the police report to the Family!"
などと、腐敗ぶりをハドソン大使が本国アメリカに報告しています。具体的な金額なども出ています。これが昨年2010年12月7日。

次に行きます。



②チュニジアの中部に位置する小都市、シディ・ブジッド Sidi Bouzid から暴動が起きます。これが2011年1月15日前後。この街は、第二次世界大戦の激戦地としてチュニジア人にはよく知られている場所です。ドイツ・イタリア軍と、アメリカ軍が激しい戦闘をしています。1943年2月。いわゆるチュニジアの戦い。

この過去と関係があるかどうか、いまひとつわからないのですが、しかし、この都市から火が付いたことは間違いないでしょう。

そしてこれが首都チュニスにも広がります。燎原の火という表現そのものにように。



③ここで、フェイスブックとツイッターが働きます。

初期は警官隊や軍部は、政府側に立っていて、市民やデモ隊に対して催涙ガスを使ったり、また狙撃行為も行なっていました。そういった情報、たとえばあのビルにはスナイパーがいるぞ、といった情報をtwitterで送っていました。とくに#(ハッシュタグ)を使って情報の共有ですね。いまでもしています。



④一般の予想よりもはるかに早く、とくにデモを起している学生や失業者や市民の予想よりも早く、ベン・アリ政権は倒れます。彼ははじめに旧宗主国フランスに亡命を求め、それが断られ、結局、サウジ・アラビアに亡命。いまもサウジにいるはずですが未確認。


この後の展開。大統領の逃亡後、首相が全権を握り、その後旧野党を中心に内閣が作られましたが、すぐに解体。意見の一致を見なかったと思われます。また大統領の家族などは殺害されたと伝えれます。

これが現時点のチュニジアであり、動きがエジプトに行ったのが1月25日。まるでなにかの感染のように。







今回の「革命」の特徴をいくつか挙げてみます。

背景 ;
+もともと市民、労働者の間に政権への不満が鬱積していた
+独裁政権
+その元での不況。失業率の高さ
+ADSLやケータイなどの普及
+WikiLeaks情報が「革命」を後押しした形。

特徴 :
+進行がきわめて急
+政権側の抵抗がなかった
+上記のPBSのヴィデオにもあるように、リーダーなき「革命」
+市民の間での連帯感はきわめて強い。自生的、自発的


ちなみにチュニジアの主な産業は、ローマ時代の遺跡などの観光、オリーブ(地中海ですから)、そして、最近は繊維産業ですね。ZARAやサン・ローランの工場があります。教育水準はとても高い国家ですから、これが出来た。外資も入れてはいた、ということです。



これからどうなるか?


おそらく誰にもわかりますまい。というのは、ちょっとした情報が、まるで津波のきっかけになるようなことが起きるのです。また収束もはやいかもしれません。

しかし、「アラブでは革命は起きない」「アラブ人は政治的に無関心である」といったよく言われたことがあっさり覆りました、ここがポイントでしょう!


この騒乱revolt、革命revolutionが、上のヴィデオにあるように<アイデンティティを確認するためのもの>かどうか、やや疑問ではあります。イスラームというベースの上に大多数の人は乗っていると思われるからです。むしろ若年層は失業率がずっと高い、といったことが重要だと思われます。


だとすると、アラブ圏にすでにリヴォルトが広がっているspilloverとするのは、偶然ではないでしょう。また、世界のどの地域でも、独裁政権で、失業率が高く、不満が溜まっていて、ケータイなり3Gなりが広がっている国家、都市では、同様のことは起きうるといってもいいと思います。起きうることと起きることは違いますが。


そして、いまエジプトという中東の大国で起こっているのです。とくにスエズが中心になっている。ここも過去に欧米との関係が深かったいわくのある場所です。

エジプトのムバラク政権は、軍部が強く、またアラブの盟主としてアメリカとの関係もあります。またパレスティナの側にも立てるという政府でもある。現時点ではムバラクからなにも声明などは出ていません。そこが気になります。つまり、何も言わないことが「ムバラク大統領は、市民の味方ではやはりないのか」という確信を深めますから。

しかしまた、上記の条件に当てはまる国家はとても多いのもまた事実。独裁政権側が、より抑圧的になったり、また、民主化をほのめかしていったりというカウンターも当然起きるでしょう。しかし、それもこれでけ展開が速いと、スピード勝負に見えます。




「チュニジアの夜」 ディジー・ガレスピーの作曲です。約3分。


デューク。ジョーダンのピアノのヒップ・ホップ・ヴァージョン。Jazzy Jeff remix。




参考 :

アルジャジーラ、ガーディアン、NYT、BBCなど。

PBS Newhourのトランスクリプトはこちら。
http://www.pbs.org/newshour/bb/international/jan-june11/tunisia2_01-17.html



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この記事へのコメント

はせがわまさしです。
2011年01月29日 03:07

確認です。
パソコンから先生のアドレスにMailを送りましたが、とどきましたか?
田中公一朗
2011年01月30日 23:10
すみません。届いてませんね。hotmail のほうですよね? 再送していただけますか?お手数ですが。@は英数ですよね?

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