田中公一朗 "The Future News"

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zoom RSS 市場主義と、飛行機原理 Market and Airplane

<<   作成日時 : 2012/05/21 12:03   >>

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市場、マーケットということを考えてみます。

すると、マーケットは著しく不安定であることがわかります。市場の誕生、資本主義の初期のころからそうであったのですね。これに関しては、当時でいえばバジェットやマルクス(彼の場合は交換)の研究が役立つのはとくに書く必要はないでしょう。現代経済についても、市場がもつ非対称性(アカロフ)などひじょうにたくさんあります。


では、この市場が、ひじょうに荒々しく、不安定な動きをするのをどうしたらよいでしょうか。

まず考えつくのが、市場を徹底的に管理するか、世の中から消し去ってしまうこと。これは不可能なことではなく、社会主義政権のなかでは、実際に行われましたし、いまでも行われています。

ただ、これが社会全体の富の配分をむしろ偏らせることはよく知られているでしょう。市場のメカニズムというのは、財の最適な配分にきわめて適している面があります。
しかし、分配が過度に行き過ぎてしまうかもしれないのです。ジニGini係数に代表される不平等です。


では、この市場の不安定さを取り除くにはさらにどのようにしたらいいでしょう?


市場の規模を小さくする、コンパクトにする、というのが次に出てくる考え方でしょう。たとえば、大きな船が沈むと、その影響はきわめて大きく、その船の被害に加えて、巻き沿いに合う船も出てきます。
一方、小さな船だけにすると、効率は悪いかもしれないが、一隻事故が起きても、大事故になることはありません。これが、市場の規模を制限する、たとえば特定の地域だけにするとか、取引量に上限をもうけるといったことです。

たとえば、現在の株式市場や商品市場では、これが現実に行われています。大量の売りや買いが出た場合に、値幅制限があったり、取引所自体が売買停止になります。だがこれも、市場の機能に制限をつけている点で、市場のよさそのものもある程度、あるいは相当に程度消えてしまっています。

1933年、アメリカのグラス・スティーガル法は、商業系銀行と投資銀行を分離しています。これも制約条件をつけていると言えます。

とはいえ、まず規模の問題はあるでしょう。


ところで、市場とはなんのことでしょうか。
市場は、需要する側と、供給している側が、直接に出会って交渉をしない、という形式の取引です。コミュニケーションは主に価格を通じて行われます。もちろんここには上述の非対称性が発生します。この非対称性を利用して、市場での取引が行われるのです。
この非対称性を広義に取ると、供給側はいつも商品を所有しているという意味で有利です。

このことが、原則的に供給側に回りたいという人々の要求を生みます。最大の供給側の強みは貨幣の供給、つまりお金の供給になるでしょう。これが政府ということですね。あるいは中央銀行。



さて、ここで、少し回り道をしてみます。

飛行機はなぜ安定して飛ぶことができるのでしょうか。それは、揚力と推力をを合成している点にあります。下向き鉛直方向への力が重力としてあります。また一方で、飛行機は水平方向の力、これがジェットエンジンやプロペラなどの推進力を持ちます。この推進力が、主翼からの揚力になっているのです。

このこと自体は一見とても不安定です。飛行機がなぜ飛ぶのか、見ている限りでは不思議です。目の前で飛行機が離陸するとき、人は驚きの声をあげます。でも、計算上はまったく謎はありません。空気が固体のように飛行機を支えているのです。

エンジンが停止しない限り、飛行機は主翼から受ける力によって、きわめて安定的に飛行する、ということですね。


さて、問題の市場の場合は、むしろ逆になっています。もともとは合成する/させるはずの、需要と供給力が大きくズレ、そこから価格が異常に高騰したり、暴落したりする。

市場に足りないもの、それは飛行機における推進力に相当するものでしょう。安定させる機能、その役割をするものが市場自体にはない。実際にはないのです。2008年以降。しばしば、強欲資本主義と呼ばれますが、資本主義はもともと強欲ですし、市場もここの取り引きは利己的なものです。それは重力が「利己的」であるのと同じことでしょう。それでこそうまく行くのです。ここのアクターのレベルで見れば。


翼には角度があり、それが揚力を生んでいます。これが飛行の秘密です。
同じように市場にも、ある角度をつけること、それは条件付けということになるでしょうが、それが市場の「安定化」になるでしょう。
飛行機を飛ばすときにパイロットの倫理は重要ですが、倫理で飛行機が飛んでいるわけではありません。

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佐貫 亦男


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