田中公一朗 "The Future News"

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zoom RSS 2012年 個人的ベスト Best of 2012

<<   作成日時 : 2012/12/19 12:35   >>

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2012年、個人的ベスト


政治・経済書

No One's World: The West, the Rising Rest, and the Coming Global Turn
Oxford Univ Pr (T)
Charles A. Kupchan


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経済ではなく、国際関係の本です。アメリカからみた世界情勢が、ひじょうに率直な形で書かれています。世界史的な変化を語ります。後半では、デモクラシーが単一の形にはならず、いくつかの形態に分かれることを指摘。冷静な叙述です。たぶん、衰退しつつあるアメリカの「焦り」とこの冷静さは表裏一体でしょう。同様の本に、イアン・ブレマー、ファリード・ザカリアがあります。

一般書

カーネマンの『シンク・ファスト&スロー』の邦訳が出ました。上下巻。早川書房は翻訳がはやいですね。

この本は、ここ10年くらいでもっとも重要な本の一冊ではないでしょうか。人の認知の非合理性を、システム1と仮に名付け、理性的で、論理的な部分をシステム2と呼び、いかにシステム2が機能していないかを徹底して解明してゆきます。つまり、合理的な人間像が、崩壊とまではいかなくとも疑問にさらされます。いろいろな研究の紹介集という意味合いも濃く、記念碑的であり、歴史にカンマを打った本ではないでしょうか。ほとんどあらゆる学問分野にかかわる本でもあります。
ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか?
早川書房
ダニエル・カーネマン


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原著はこちら。一般読者を対象にしているので読みやすいです。すでにペーパーバックもありのようですね。
Thinking, Fast and Slow
Farrar Straus & Giroux (T)
Daniel Kahneman


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映画:

今年は、映画の当たり年だったのではないでしょうか。欧州の映画も含めてそうだったと思います。

個人的なベストは『アルゴ』

これ、予告編がつまらなさそうなんです。そこに惑わされてはいけません。
ベン・アフレック監督の映画を2年連続でベストにするのも能がないですが、彼がここまで広がりがある映画を撮るようになるとは思いませんでした。入れ子構造になっていますし、俳優の力量もひじょうに高い。国家と国家、情報戦、インテリジェンス、戦闘、個人の葛藤、宗教、という要素がそれぞれ密接につながりながら関わっています。カメラの動きも秀逸。


次点は、『バットマン・ライジング』(原題は Batman Rises)

前作より評価を下げる人が少なくないのですが、僕はこちらもおすすめ。『アルゴ』同様に、個人的、私的な苦悩から、社会の苦悩、矛盾にまで眼を向け始めていると思います。充分に徹底されてはいないかもしれませんが。クリストファー・ノーラン監督。各種のアイデアが炸裂。


『ライク・サムワン・イン・ラブ』。これもよかった。

キアロスタミ監督が、日本で全編ロケ。知っている場所がたくさん出てきます。横浜をベースにしているようです。
日本の風景はきちんと撮れる。日本人映画監督は、日本の風景や音が撮れる人が少ない。画が汚いんです。スタッフと、監督がいれば、撮れるんです。音もそうです。その最適例のひとつ。
またキャスティングがよいです。誰もがコミュニケーションでうまくいかず、みなが自分の世界に入りこんでいる。そして孤独や焦燥を生む。そんな「現在の日本」が提示されています。



ステージもの:


ピーター・グライムズ(新国立劇場)
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000188_frecord.html
ウィリー・デッカーの演出が、全体の流れの理解と緊張感を高めたと思います。シンプルな演出こそがこのストーリーにはふさわしい。また、東京フィルハーモニーはだいぶよくなったのかもしれません。

バイロイト引っ越し公演(バルセロナ、リセウ劇場)
http://www.liceubarcelona.cat/en/2012-2013-season/festival-bayreuth.html
海外上演のものなのですが、いちおう挙げておきます。
バイロイト祝祭劇場の久しぶりの引っ越し公演。カタリーナ・ワーグナー氏も来ておりました。演奏会形式。『ローエングリン』『トリスタンとイゾルデ』のみを見る。
チェロの、まるでエンジン音のような迫力のある刻みや、安定したブラスが素晴らしかった。ヴァイグルはなかなかの指揮者かと思います。これからさらに伸びてゆくのではないでしょうか。


マイケル・クリンプス、『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』
(上野ストアハウス)
http://www.hmp-theater.com/info.html
「現代の古典」と呼ばれるこの作品。しかし、脚本だけだときわめて難解になってしまう作品でもあります。意味を汲み取り、作品の意図を浮かび上がらせたといえるでしょう。


野田マップ、『THE BEE』、2012年
http://www.nodamap.com/productions/thebee/
野田秀樹さんの英語脚本であり主演。野田さん、ここまで上演時間が短い演劇が書けるんですね。いつものダジャレから連想し、大きな世界の動きを重層的に描く方法ではなく、古典的な演劇手法で、ストレートに暴力を扱っています。暴力を忌避する側が、知らないうちに暴力を行使する側になっている。そこにジェンダーの入れ替わりも起きます。入れ替わり、置き換えですね。ひじょうに感動しました。なににか? この圧縮した状態で、救いのない世界、それが現在なのかもしれないと気付かせてくれるところに。





音楽:

テクノ:
deadmau5


下のアルバムの中の1曲です。
album title goes here
VUK (601) (XY6)
2012-09-24
DEADMAU5


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ジャズ:

ロバート・グラスパー エクスペリメント


ライヴ:

ポリーニ・プロジェクト(サントリー・ホール)
ポリーニによるベートーベンの後期ソナタ。1980年代であれば、各声部を分離しながら演奏し、音楽の構造を明らかにする。そういう演奏をしていたと思います。しかし、ポリーニはそういう演奏ではなく、全体的、統合的にソナタのすべてを聞かせます。テンポもはやい。重たいベートーベンではなく、理屈が通っているベートーベンでもなく、現実を越えてゆくベートーベン。


グリーン・デイ
サマソニのライヴは爽快でした。一気に3枚出たアルバムも、元気です。ひじょうに高度なテクニックが背景にあって成り立つ音楽。

パット・メセニー・ライヴ
オーケストリオンが小型になって登場。現在もっとも変わった音楽を創っているミュージシャンか。


展覧会:

エルミタージュ展
http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/index.html



3/11があり、その前後ではモノの考え方が変わりました。その延長上にあるのが今年か。ミュージカルや演劇、歌舞伎などを見るのが減。ということで例年とはだいぶ異質なベストに。

以上、ご参考まで。なにかが抜けている気もするので、書き加えるかもしれません。


2011年のベストはこちら↓
http://extra.at.webry.info/201202/article_1.html




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