『ナブッコ』、東京二期会オペラ劇場Nabucco &Andrea Battistoni Sparks

画像


オペラ、『ナブッコ』、ヴェルディにとっては大きな転機になったと言われるオペラ。


指揮はアンドレア・バッティストーニ。若手ではあるのですが、音楽的な完成度がきわめて高かったです。実に鮮烈で生きいきした演奏。

まず拍感がひじょうにはっきりしています。自分の席からは指揮がよく見えたのですが、指示の出し方が素早く大きいので演奏するほうも歌手もやりやすいと思います。

また細かい表現、たとえば16分音符くらいの弦の動きなども丁寧に鳴らしてます。ソロパートにも指示を手振りで明確に出します。テンポはやや速め。

東京フィルは、初台でいまひとつの演奏が少なくないのですが、今日は違いました。室内楽的な演奏(2幕)も弦のアンサンブルが明快。数日間のリハーサルのはずですが、もともと底力はあるので、指揮者次第なのでしょう。たとえばペーター・シュナイダーが振ると、ふっくらした繊細な音が、すーっと出てきます。それだけ不安定なオケ、ともいえます。大所帯ということは聴衆には理由にはなりません。




さて、このオペラ、「いまの政治情勢を反映しているのではないか、」と思いたくなるテーマ設定です。

レヴィ人やヘブライ人(ユダヤ系)と、アッシリア人の間の闘争が基本的な背景。そこに愛も絡んできます。演出のダニエレ・アッバード(クラウディオ・アッバードの息子)も、イスラエルとアラブの紛争を念頭にいれているようです。いつも20世紀の服装をした家族たちが、舞台のどこかで演技や歌唱を見ているのです。

エルサレムの嘆きの壁と思わせる壁。そのこちら側がヘブライ人、向こう側がバビロニア。回り舞台状になっているので、視点を変えて観客は見ることができます。

ちなみにナブッコはバビロニアの王であり、ネブカドネザルがモデル。

また、ヴェルディ自身の第三幕の曲、「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」はイタリアの「第二の国歌」と呼ばれています。これに関する歴史的な分析は公演パンフレットに詳しい。

イタリアの若い世代にとってこの曲はほとんど未知のようです。少なくとも歌詞は知らない。しかし、イタリアが経済的に逼迫しているのなか、指揮者ムーティが一緒に歌おうと促すのもわかる気がします。(下の動画)

歌詞だけみるとシオニズム(ユダヤ主義)ですが、イタリアにとってはそういう意味はおそらくなく、国家統合という意味での歌なのでしょう。




もうひとつ、ナブッコに関連する話しがあります。

ヨーロッパでは暖房に液化天然ガスがよく使われています。パイプラインでロシアから何本ものルートで引いてきている。
そのうちのひとつが、「ナブッコ・パイプライン」。ネブカドネザルのイタリア語読みはナブッコドノソールです。

カスピ海からオーストリアまでパイプラインでつなげようというもの。そこにイランも加わりたい、という意向もあり、こうなると「ナブッコ」は、過去の話ではありません。まさに現在のことです。


オペラの『ナブッコ』は、二期会では2012年ではあと2/18、19です。新国立劇場でも、2012/13年シーズンに上演予定です。



バッティストーニの指揮、動画は少ないのですが、たとえば、メンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』があります。彼の特徴は出ていると思います。




"『ナブッコ』、東京二期会オペラ劇場Nabucco &Andrea Battistoni Sparks" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント