領土問題 尖閣諸島、竹島、北方領土 Territorial Disputes in EastAsia

地政学リスクと一部で言われています。島の帰属をめぐる問題。「こんどこそ毅然とした態度」とか「弱腰外交はやめろ」といった声が聞こえます。

次のように考えたらどうでしょう。


たしかに日本政府は、国内法に従って対応すればいいんです。でも、この方法だと決着がつきません。北方領土、竹島、尖閣諸島、このどれもについて、関係する双方の政府が、「この土地は自分たちのものです」と主張しています。あるいは領土問題は存在しない、と言う。お互いに終わりがなくなりますね。自己主張を延々続けます。そしてだんだん要求や反感がエスカレートしてゆく。ナショナリズムが高まるでしょう。


日本政府が、今後も韓国、中国、ロシアが取っているのと同様の対応していると、このゲームには勝てません。どの政府も戦争をする気はまったくないですし、国民レベルでも戦争は避けたいでしょう。相互に経済的、人的に密接にかかわりあいが深すぎます。では、どうするのが最善か。


理念をここで提示するのです。ここでこそする。「日本人」がもっとも苦手とするかもしれない理念。「そんな理想を言うな」というように使われる、あの理念であり理想です。国際社会はそういう普遍的なルールを主張する政府、国家、人を信用します。東南アジア、アメリカも、この領土問題はよく観察しています。ギャラリーは多い。


**想定できる演説趣旨**


「東アジア、ひいてはアジア全域に、土地問題、領土問題が存在するのは、21世紀のいまでは時代錯誤です。たしかに、資源が大事なのは、どの国家にとっても同じ。天然資源は一国のゆくえを左右し、また外交の持ち札になります。
しかしです。21世紀の、先進国や新興国にとっては、国家に対する信頼がこそが投資を生み、世界に散らばっている有能な人々を惹きつけます。現今の不安定な時代のなかで、争いを繰り広げ、また争いを長続きさせることは、日本政府の本意ではありません。これは明言しておきます。日本は争いを好みません。


そこで、日本は、諸島、島嶼部の帰属について、いったん棚上げにすることを各国に提案します。関係国が相互に共同で島を管理開発、共同所有をする。それは各国の中長期的な利益、さらには国際社会の大いなる利益となるでしょう。また相互に有効な管理開発の方法を構築してゆく。こう日本政府はこの領土問題を考えます」


ご不満なかたもいるでしょうから、意図を解説させてください。


たしかに日本政府は「情けない」「プライドはないのか」「やられっぱなしでいいのか」と考えるのが通常でしょう。自民党、民主党の外交の失敗もあります。そちらへも怒りが向かいやすい。


いま強調したい考え方は、
<日本政府が領土問題を、新しいルールやノルム・セッティングをすることで解決を図ろうとする>
ものです。「どちらのモノ」と決めようとしても、決められません。お互いにそれぞれ歴史的な言い分がありますから。国際司法裁判所(デン・ハーグ)が仮になにかを決定しても、どちらか、あるいは両方が反論するでしょう。ハーグの決定は拘束力はないどころか、いまや権威もそれほどありません。


こういう考え方は、日本の人には受容しにくいでしょう。ひとつ上位の次元でモノゴトを考えると、「日本はすごい」っていうことに容易になります。こういう上位で考える思考法は、経営者のほうがむしろ持っているかもしれません。

より明快にしましょう。


こういうことです。

領土問題、どちらが正しいかについて誰も結論が出せない。日本人からは、日本が正しく見え、報道もそういう主旨です。中国、韓国、ロシアではそれぞれ自分たちの主張が正しく見え、報道もそうなります。CCTV、KBS、RTRを見ていると同じ現象がこんなに違って見えているんだ、とわかります


たとえば。
国際的標準規格を取る話が数々あります。たとえば スマートグリッド とか、IFRSとか著作権が有名ですね。
こういうときに強いのは「理想」を高く掲げた国家です。自国のことだけを考えていない、という提案をした国家です。結果的にそういう国家が主張した内容が主流になりやすく、その国は有利にゲームを展開してゆくことが可能です。主導権が取れる。


領土問題 も一緒です。中韓ロシアと同じ基準で戦っては絶対にだめ。理想や理念を語り、中韓ロシアをアウトドライブする。これが実際にアジアの安定に結実します。また結実させます。そして、これこそが、日本の最大の国益になります。


戦略、戦術を考える場合に、戦略は、相手のこと、相手の反応を予想して考えます。自らが「正しい」主張をしても、それは相手にとっては「正しくなければ」、受け入れられません。むしろ独りよがりであると判断されます。つまり、国益をはじめに考えないで、後から考えることで、国益は最大化されます。


もちろん、理念理想を出したから問題が一気に消えたりはしません。領土問題などはなからないので、なにを言っているのか、という反論もありえます。しかし、そういう反論が来たら、日本政府が主導権を握りはじめていることになります。ここからが日本政府の勝負、外交の核心部分でしょう。


いまやるべきことは、中国、韓国、ロシアの弱点を徹底的に洗いだすことです。企業でいえば、競合他社の弱点を知りつくし、その後、いわゆる経営学で言う「ブルー・オーシャン」を日本が設定してゆくことです。


参考文献:

ブルース・グリーンウォルド、ジャド・カーン、『競争戦略の謎を解く』、辻谷一美訳、ダイヤモンド社、2012
競争戦略の謎を解く
ダイヤモンド社
ブルース・グリーンウォルド


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より簡略なのは、
競争戦略としてのグローバルルール―世界市場で勝つ企業の秘訣
東洋経済新報社
藤井 敏彦


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そのほか、ゲーム理論関係の書籍です。

報道では、

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/16/2012081600979.html
「朝鮮日報」、【社説】独島・慰安婦問題で行き詰まる韓日両国の未来。(こういう見方が韓国では標準でしょう)。

http://www.chinadaily.com.cn/china/2012-08/16/content_15682079.htm
"China Daily" 中国政府、活動家の即時無条件解放を要求(英文。政府系英語新聞です)。

http://japanese.ruvr.ru/2012_07_28/ro-nichi-gaishou-sochi-kaidan-kuriru/
「ロシアの声」、露日外相会談:ロシア指導部はクリル諸島訪問を退けず。









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