【書評】ジョシュア・C・ラモ『不連続変化の時代』The Age of the Unthinkable
書評というよりはご紹介。
上から均質な砂粒を落とします。すると砂の山ができあがりますね。
では、なおも砂粒を落としたらどうなるでしょうか?
当然崩れますが、どの一粒で崩れるか? それが予想できません。確率的に表記はできそうですが、それもむずかしい。何粒目に崩れるかは、ランダムに決まらないからです。このへんはマンデルブロの理論。
そしていったん崩れると状況は大きく変化します。
そして現在のグローバル社会は、その砂の山が崩れるかのように振るまう。テロ、疾病、金融危機、自然災害。いつどこでおきるか事前に予測するのが難しい。難しいというよりも出来ない。
通常の因果関係が成立しない、ということでしょうね。アフガニスタン戦争で、劣勢になればより軍隊を送ろうとします。しかしそのことが、アフガニスタンの人たちの反感を買い、よりテロリズムが増える。
この結果は派兵してみなければわからない!
そのための戦略として、ディープ・セキュリティーという考え方を出してきます。このへんから話が見えにくくなります。より柔軟性をもった対応を用意するべきだ、というのですが。
中心概念のひとつが免疫化と分散化。
正直、このへんは自分にはよくわかりませんでした。まだ完成途上、道半ばか。むしろ読者はどうしたらいいだろうと、考えますね。
そうはいっても、まずこのラモさん、文章がうまい。比喩の使い方とか、例示の仕方。よく海外の現場を見ているし。そういう意味では、短い本ですが、いまの世界の状況を、「わかったふりをしないで」書いているところが素晴らしいと思います。
かなり強くおすすめです!!
日本語版には参考文献の表記がわかりにくいのが残念。
参考:
http://joshuaramo.com/
著者、クーパー・ラモさんのサイト。
http://www.toyokeizai.net/life/review/detail/AC/9df6cc66dd55dfe398dffee63a312d29/
東洋経済の書評。ちょっとそういうことではないじゃないですか? 複雑系という呼び方が誤解を呼ぶんだと思います。
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